図6 モノフォニック(単音性,左)とポリフォニック(多音性,右)ウイーズの サウンドスペクトログラム 解析 横軸は時間でそれぞれ10 秒ほどの記録である。縦軸は周波数(単位は kHz)で,音の強さは明るさで示す。単音性では1本だけの強い周波数バンド(最高で 400 Hz 程度)がみられる。多音性では呼気(やや持続が長い),吸気(やや持続が短い)ともに多数の周波数バンドが認められ,濁った音になることが分る。ウイーズの周波数は一定ではなく,変動することが特徴の 1 つである。
~~高齢者では血管内脱水と浮腫が同時にみられることも多い。舌は乾燥し,下腿浮腫を認める。この状態で利尿薬を使うと脱水が悪化する。肝の叩打痛や頸静脈怒脹がなければ利尿薬は不要で,動きの少ない高齢者は多少の足背浮腫があるほうが元気である。ただし,肺炎で呼吸状態が悪い場合は脱水気味のほうが肺の水分量も減り,安全に呼吸管理できる。~~
~~手が火照る,発汗,軽度の血圧上昇,羽ばたき振戦,傾眠や頭痛,縮瞳があれば高度の高炭酸ガス貯留を考える。~~ ~~聴診は肺の様々な病態を即時に判断できる優れた診療技術である8)9)。肺の主な機能は換気とガス交換であるが,そこに出入りする気流の音から得られる情報は多い。肺胞の障害ではクラックルが聴かれることが多く,気道の障害ではウイーズがよく聴かれる。~~ ~~肺音は正常で聴かれる呼吸音と,それ以外の副雑音に大別され,さらに呼吸音は肺胞音と気管支音に大別され,副雑音の大半はラ音で,断続性(クラックル)と連続性(ウイーズ,ロンカイ)に大別される。ラ音以外の副雑音には胸膜摩擦音などがある12)~~ ~~モノフォニック(単音性)ウイーズ(図 6)は,比較的澄んだ単一周波数擬音であればヒュー,キューと表現できる。喘息では軽度の気道攣縮で聴かれ,β刺激薬の吸入で速やかに改善する17)。同じ部位で何度もウイーズ(モノフォニックに近い)が聴こえたら器質的な気道狭窄が起こっている可能性があるので CTで確認する18)。 ポリフォニック(多音性)ウイーズは濁った連続音で,ギューなどと表現できる。吸気,呼気ともに聴かれることも多く,気道炎症が強いことを示し,全身的なステロイド投与が必要である。筆者らの検討ではポリフォニックウイーズでウイーズを構成する音の要素が多いほど,また持続が長いほど気道炎症が強い17)。~~ |
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一般社団法人 呼吸研究解散のご案内 拝啓 平素は一般社団法人 呼吸研究の活動に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、一般社団法人 呼吸研究は本年3月に法人組織を解散し活動を停止することになりました。 滝島任先生が初代編集委員長として、1982年9月に創刊された雑誌『呼吸』は、読者の皆様やご寄稿いただいた先生方など大変多くの方々からのお力添えを賜り、呼吸器学の月刊専門誌として、基礎から臨床にいたるまでの最新知見を読みやすい誌面でお伝えしていくことを目標に、刊行を続けてまいりました。その『呼吸』が諸般の事情により、2014年末に34巻12号で冊子体としての発行を休止いたしました。 その後、『呼吸』編集委員会は、呼吸器関係の学術誌が限られた発行状況にあることを考慮して、『呼吸』バックナンバーのWeb上での閲覧を持続するとともに、電子図書『呼吸』eレポートの発行を行ってまいりました。 しかし諸般の状況検討により、今後の活動継続は困難と判断し、法人解散の手続きを関係者の体力的に余力があるうちに実施することを編集委員会の総意として決定しました。 法人解散後は、一般社団法人 呼吸研究が有していました『呼吸』等発行図書の著作権を公益財団法人 日本呼吸器財団に承継していただき、WEB上での “『呼吸』バックナンバー検索・閲覧システム”の維持運営と発行済『呼吸』eレポートの閲覧公開を継続することにしています。 長きにわたり『呼吸』と一般社団法人 呼吸研究の活動にご支援賜りました皆様方には厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。 末筆ながら、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
敬具
2020年2月 一般社団法人 呼吸研究 事務局
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旧一般社団法人呼吸研究に帰属していました『呼吸』等に関わる著作権は、2020年3月に一般社団法人呼吸研究が解散し、公益財団法人日本呼吸器財団に承継されていましたが、2024年4月から一般社団法人日本呼吸器学会に承継されることになりました。 なお本サイトの管理、および本サイト上での“『呼吸』バックナンバー検索・閲覧システム” の維持運営はインタージョイン株式会社が行っています。
2024年4月 インタージョイン株式会社
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