一般社団法人 呼吸研究 RESPIRATION.JP|雑誌「呼吸」by Respiration Research Foundation 


最新号 3巻2号



~~今月の論文(『呼吸』バックナンバーより)~~

呼吸30(2): 171 - 181, 2011
研究会記録第38回 箱根呼吸討論会記録 No.3
      COPD における栄養障害の病態と新規治療戦略
要旨  慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)において栄養障害は高率に認められる併存症である。栄養障害は肺機能とは独立した予後因子であり,除脂肪量の減少を介して病態や QOL の低下とも密接に関連する。栄養障害に伴う骨粗鬆症は腰痛や骨折などにより ADL を低下させる要因となる。また,気腫型 COPD における脂肪細胞由来のアディポネクチンの分泌亢進は,心血管疾患の発症を抑制している可能性がある。栄養障害の原因として代謝亢進に加え,全身性炎症や内分泌ホルモンの分泌動態の関与も注目されており,遺伝的背景についても検討されつつある。現時点では COPD の栄養治療の有効性に関するエビデンスは確立されていない。栄養補給療法と運動療法との併用,全身性炎症の制御,蛋白同化因子の応用,摂食調節因子による介入など,多面的な観点からの包括的栄養管理が求められており,グレリンの臨床応用が期待される。
 

キーワード:   慢性閉塞性肺疾患   栄養障害   全身性炎症   グレリン
        図2  COPD における栄養障害のメカニズム
                              
~~ COPD は呼吸器悪液質(pulmonary cachexia)を呈する代表的疾患であり8)9),健常対照と比較して 除脂肪量(lean body mass:LBM) や 脂肪量(fat mass:FM) の減少とともに骨塩量(bone mineral content:BMC)の減少もみられる。 ~~~内臓蛋白では血清アルブミンに有意差は認めず,rapid turnover protein (RTP)であるプレアルブミン,レチノール結合蛋白はCOPD 患者で低下を示す。血漿アミノ酸分析では,分岐鎖アミノ酸(branched chain amino acids:BCAA)の有意な低下に基づく BCAA/芳香族アミノ酸(aromatic amino acids:AAA)比の低下を認める。即ち,安定期 COPD患者は RTP の低下とアミノ酸インバランスを伴うマラスムス型の蛋白・エネルギー栄養障害(protein energy malnutrition:PEM)を呈している9)
~~~COPD における栄養障害の発症には多くの要因が複合的に関与していると考えられている。主として代謝亢進に起因するエネルギーインバランスや全身性炎症,内分泌ホルモンの分泌動態の変化などが関与17)している(図 2)。~~


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6月号では、コロナウイルスの感染症 中東呼吸器症候群(MERS)について、「総説:いま、警戒すべき輸入ウイルス感染症」で解説されています。執筆は長崎大学熱帯医学研究所新興感染症学分野の 安田二朗先生です。
2015.06.03 『呼吸』Vol.34 No.6 が15日に発刊されます。長崎大学野の 安田二朗先生により中東呼吸器症候群(MERS)について、「総説:いま、警戒すべき輸入ウイルス感染症」で解説されています。
2015.05.15 『呼吸』Vol.34 No.5 発刊
2015.04.15 『呼吸』Vol.34 No.4 発刊

一般社団法人 呼吸研究解散のご案内
拝啓
 平素は一般社団法人 呼吸研究の活動に格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、一般社団法人 呼吸研究は本年3月に法人組織を解散し活動を停止することになりました。
 滝島任先生が初代編集委員長として、1982年9月に創刊された雑誌『呼吸』は、読者の皆様やご寄稿いただいた先生方など大変多くの方々からのお力添えを賜り、呼吸器学の月刊専門誌として、基礎から臨床にいたるまでの最新知見を読みやすい誌面でお伝えしていくことを目標に、刊行を続けてまいりました。その『呼吸』が諸般の事情により、2014年末に34巻12号で冊子体としての発行を休止いたしました。
 その後、『呼吸』編集委員会は、呼吸器関係の学術誌が限られた発行状況にあることを考慮して、『呼吸』バックナンバーのWeb上での閲覧を持続するとともに、電子図書『呼吸』eレポートの発行を行ってまいりました。
 しかし諸般の状況検討により、今後の活動継続は困難と判断し、法人解散の手続きを関係者の体力的に余力があるうちに実施することを編集委員会の総意として決定しました。
 法人解散後は、一般社団法人 呼吸研究が有していました『呼吸』等発行図書の著作権を公益財団法人 日本呼吸器財団に承継していただき、WEB上での “『呼吸』バックナンバー検索・閲覧システム”の維持運営と発行済『呼吸』eレポートの閲覧公開を継続することにしています。

 長きにわたり『呼吸』と一般社団法人 呼吸研究の活動にご支援賜りました皆様方には厚く御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
 末筆ながら、皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。
敬具

2020年2月 
一般社団法人 呼吸研究
事務局